【五十嵐先生との対談】第2回 共同研究の意義とこれからの展望について②

 
らいふでは、弊社運営施設の指定医であると共に認知症治療の権威である
医療法人財団至高会たかせクリニック 髙瀬 義昌 理事長、
東京大学大学院薬学系研究科客員准教授の五十嵐 中 先生、
国際医療福祉大学医学部副学部長公衆衛生学専攻主任の池田 俊也 先生と協同し、
認知症高齢者(ご入居者様)への減薬に関する産学共同の取り組みを行っております。

今回は、共同研究の意義について、五十嵐先生と弊社取締役の小林の対談を2回に亘り掲載いたします。

第2回の対談テーマは、「共同研究の意義とこれからの展望について」の続編です。
 
~ 対談内容 ~

ーーらいふ:国際医療福祉大学の池田俊也先生も交えた、帯状疱疹・誤嚥性肺炎のワクチン公費化についてコメントをお願いします。

 

五十嵐:はい。帯状疱疹ワクチン、それから肺炎球菌性肺炎に例示をしておりますけども、ここでポイントとなるのは、こうした高齢者向けのワクチンというのは、公費で負担するべきか否かという問題に関して、さまざまな議論が進んでいることです。

すなわち、なんでもかんでも公費で負担してしまったら、むしろ、やはり財政を圧迫してしまう。ある意味でお金を出す、それに見合った効き目、安全性、それから費用対効果といういろんな軸をみて、まぁある意味で、ワクチンというものをオフィシャルに国として面倒をみるかというような作業が進んでいます。

 

その中で、やはり大事なのが、そもそも海外のデータを持ってくるのではなくて、日本というフィールドで果たして、例えば、どれだけの効き目があるか、あるいは肺炎球菌性肺炎ですとか帯状疱疹ですとか、そうした病気に罹ったときにどれだれの負担というかQOLが低下するのか。そういうようなデータが必要になってきます。

ところが、これまでは病気に罹った人が果たしてどれだけ生活の質が低下するのか、というようなデータは、日本では非常に限られていました。海外ではいくつかデータはありますけども、やはり同じ病気に罹った時に、どれくらい負担になるか。これは究極的にはひとりひとりみんな違うわけですけど、少なくとも人種によっては差はあるだろう、と。

例えば、アメリカのデータをそのまま日本に転用するわけには、基本的には、やはりいかないのではないか、という議論がなされておりまして。言ってみれば、国内初のデータをというものが非常に強く求められている状況にあります

 

そのフィールドとしても、この老健施設で経時的にデータをとるというのは、うまく活用できると考えまして、らいふさんといろんな感染症に罹ったときにどれだけの、これは金銭的にという意味ではなくて、イメージでは健康がどれだけ損なわれるのかを定量化する。そうしたデータをというふうに考えています。

 

ーーらいふ:ここから先の展開の話ですが、コストだけではなくて、効き目という軸を設定し、なおかつ一点ではなくて、経時的にとり続ける。これはさまざまなことへの活用が可能ですね。

 

五十嵐:そのとおりです。先ほどワクチンの例を出しましたけど、例えば、認知症が重度化したら、介護の負担が増していくのか、あるいは、介護保険の支出が増していくのか、こうしたことに関しても、実はあまり今、データが整理されていない状況にあります。

 

現在のデータですと、6人に1人の高齢者、やがて認知症の割合は全体が高齢化していけば増えていくので、そうした中で、やはり大きな負担を占めることになるのだけれども、実は、じゃあ「認知症に罹ったら大変です、たくさんお金がかかりますよ」という話ではなくて、どれだけ重症化したらどのくらい負担が増すのか。やはり数字のデータを出していく必要があります。

そうしたフィールドとしても、こうした経時的にお金と効き目の両方をみるという座組が必ず役に立つというふうに考えています。

以上が、第2回の対談の内容です。