転倒リスク低減に向けた取組み
株式会社らいふ[本社:東京都品川区、社長:熊谷 敬]は、
「生きる力を引き出す介護」を事業理念として、東京・神奈川・千葉・埼玉の
1都3県にて現在48の有料老人ホームを運営しております。
この度、ご入居者様の転倒リスク低減に向けた取り組みを開始致しました。
施設管理者・ケアマネジャー・本社スタッフに加え、当社指定医で認知症治療のスペシャリストである、たかせクリニック 髙瀬義昌理事長および東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐 中 特任准教授、了徳寺大学 山下和彦教授、株式会社グローバル・ケアにもご協力いただきプロジェクトチームを発足し、以下の取組みを進め、その分析結果を共同研究として発表することを予めお知らせ致します。
告知ポスター(695.9KB)
2019年11月より東京大学大学院医学系研究科薬学部医薬政策学 五十嵐 中 客員准教授、了徳寺大学 健康科学部 山下 和彦 教授、当社指定医でもあります医療法人社団至髙会たかせクリニック 髙瀬 義昌 理事長と共に当社が進めて参りました「フットケアに関する共同研究」結果がまとまりました(*下記「共同研究速報レポート」をご参照ください)。
取り急ぎそのご案内を申し上げると共に、「フットケアサービス(自費サービス)」を2020年7月より開始します。
現在取組みを進めております「減薬」が転倒リスク低減にどのような効果をもたらすのか、またフットケアを受けることにより歩行機能の向上、ひいては転倒リスクの低減までできることを検証して参りました。
結果、身体機能(下肢筋力、歩行機能、バランス機能)が向上し、歩行状態も安定し、転倒回数が減少したこと、足・爪の状態が改善したこと等モニターのご入居者・ご家族様より大変ご好評いただきました。また共同研究者からもこれら効果について高い評価をいただいております(詳細は下記「らいふ通信」をご参照ください)。
つきましては、2020年7月より「フットケアサービス」を本格開始することといたしました。フットケアスペシャリストと呼ばれる専門の施術師を施設に招き、1施術(施術時間40分)につき6,500円(税別)で、施術を受けていただくことができます。
これらの取組みにより、介護サービスのより一層の品質向上を実現し、ご入居者様の安心・安全な生活を提供致します。
以 上
施術費用
メディア掲載
雑誌「介護ビジョン」2020年4月号に転倒リスク低減に向けた取り組みが掲載されました(2020年3月23日掲載)
表紙
掲載記事
掲載紙(PDFファイル)(285KB)
「週刊 高齢者住宅新聞」に当社の各種取り組み(フットケア・時間のモノサシ)が掲載されました(2020年10月掲載)
フットケア(自費)サービスを開始致しました(2020年7月28日掲載)
2020年7月より東京都、神奈川県の21施設で「フットケアサービス」を本格開始致しました。
今回は各施設で行われたフットケアの様子の一部をご紹介致します。
また、2020年8月より神奈川県(7月開始施設以外)、埼玉県、千葉県の施設でも開始予定です。
※フットケアスペシャリスト(施術者)は入館時に消毒、検温など新型コロナウイルス感染対策実施の上、施術しております。
ホームステーションらいふ町田
ホームステーションらいふ中板橋
「フットケア実施報告書」を作成しています
フットケアスペシャリストが行った施術内容やフットケア施術前後の足の様子がわかるように、施術の度に「フットケア実施報告書」を作成し、ご利用者様とそのご家族様にお渡ししております。
2020年8月 フットケア実施スケジュール
※2020年7月27日現在のスケジュールです。日時が変更になる可能性がございます。
予めご了承ください。
「フットケア(自費)サービス」の内製化に向け、フットケアスペシャリスト候補生(看護職)がフットケアを体験してきました(2020年10月掲載)
2020年8月より当社が運営する全施設で『フットケア(自費)サービス』を実施しております。より多くのご入居者様に本サービスをご提供できるよう、当社の看護師をフットケアスペシャリストとして教育し、内製化する運びとなりました。
2020年10月、内製化に向けた教育の一環として、フットケアスペシャリスト候補第1期生として選抜された看護師6名が、足のトラブル専門店のPEDI CARE(ペディケア)にて、フットケアを体験してきました。
今回の体験を活かし、ご利用者様(ご入居者様)により良いサービスを提供できるよう、努めて参ります。
フットケアスペシャリスト候補 第1期生
フットケア体験 当日の様子
足トラブルのヒアリングを受ける候補生①
足トラブルのヒアリングを受ける候補生➁
足トラブルのヒアリングを受ける候補生➂
フットケアを体験する候補生①
フットケアを体験する候補生➁
フットケアを体験する候補生➂
ペディケアの皆様と候補生①
ペディケアの皆様と候補生➁
これまでの取り組み
施設における転倒リスク低減に向けた取組みの意義
施設内において疾病以外で最も多い事故が「転倒」であります。その要因は、薬剤の副作用によるふらつきや、歩行機能の低下が挙げられます。既に取り組んでいる減薬が転倒リスク低減にどのような効果をもたらすのか、またフットケアを行うことにより歩行機能の向上、ひいては転倒リスクを低減できることを明らかにしたいと考えました。
まずは、来年5月末までを目途に先行8施設48名のご入居者様をモニターとして効果検証し、一定の効果が見込まれれば、全社展開することで介護サービスのより一層の品質向上を実現し、ご入居者様の安心・安全な生活を提供致します。
施設における過誤は主に2つ、転倒・転落、誤薬です。どちらも介護負担を高め、施設側、対象者側双方の身体的・心理的負担が大きいものです。
転落は、ベッドや車いすからのずり落ちなどが挙げられるため、姿勢の保持や立ち上がりなどが関係します。転倒は、歩行機能・足の筋力が低下することで、ちょっとした段差などでも発生します。そのため、立位や歩行中のふんばる力や地面をしっかりつかむ力が重要となります。立位や歩行が安定化することで転倒・骨折予防だけではなく、介護をする側もされる側も大幅に負担が減ります。
歩行機能などの身体機能の向上が得られることで、生活の快適さの向上・薬の減薬などが期待でき、ご家族にも入所者の状況を安心してもらえるとともに、過誤の減少につながると考えられます。
一方、施設入所者の8割以上に、足部や足爪の問題が発生していると報告されています。足部や足爪のトラブルは、立位保持を不安定にさせ、歩行機能を確実に低下させます。つまり、転倒リスクを高め、活動性を減少させます。
具体的には、自分で歩いてトイレに行きたくても爪が皮膚に食い込んでいる、足裏にタコや魚の目が形成されていると、足指や足裏に痛みが発生して安定して歩くことが困難となります。フラフラした歩行であるため転びやすい状態となり、活動性が低下し、基本的日常生活動作が阻害されていきます。
このような足部と足爪の問題が要支援・要介護要因に挙げられる疾患のリスク要因の1つとなっています。一方で、転倒を経験した高齢者は転倒への恐怖感から自分で歩くことに消極的になるため、より筋肉量が低下するなど悪循環に陥ります。
そのため,我々はフットケア活動を推進し、要支援・要介護の予防・重症化予防・改善に取り組みたいと考えています。また、介護負担の観点からも被介護者が自分の足で立つなどの意識があると体重のかかり具合の変化から介護の負担も軽減すると考えられます。足部や足爪に課題のある虚弱高齢者74名を対象にフットケアを実施したことによる下肢筋力(足指力)と足圧分布、足部と足爪の変化およびフットケアによる生活習慣や気持ち・行動の変化について調査しました。解析は2時予防対象者群と認知症高齢者の2群に分けて行っており、介入内容は巻き爪や肥厚爪、足裏などのタコ・魚の目のケアに加え,日常的な足部と足爪のケアの指導をしました。介入期間と頻度は、月に1回のケアを5ヶ月間実施しました。
・足指力は向上している.
・認知症高齢者でもフットケアを行うことで足指力は向上する.
・介入前の筋力が低く転倒リスクが高かったが、フットケアにより足指力が向上した.
・介入前の筋力が低く転倒リスクが高い対象者はフットケアによる足指力の向上率が高い.
・介入前は足指が浮いている状態であったが、介入後は足指の接地が確認できた.
→足指の痛みが軽減することで足指に体重がかけられるようになり、浮指が改善した.
・土踏まず部分も青から黄色に変化し、筋肉の柔軟性が高まった.
→フットケアでの足裏マッサージなどにより足裏の筋肉が軟らかくなり改善した.
介入前 → 介入後
巻き爪の変化
タコの変化
肥厚爪の変化
・足爪の痛みが改善した
・爪が綺麗になり気分が明るくなった
・靴や靴下など気にかけるようになった
・友人との交流が増えた
・ボランティア活動を始めた
・フットケアの大切さを友人に伝える
山下教授 研究論文 ご紹介

山下教授 論文(抜粋)
Q.施設における転倒はどのくらいあるのか? A.1施設で週に約1回

共同研究メンバー
たかせクリニック理事長
髙瀬 義昌 様
東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 特任准教授
五十嵐 中 様
了徳寺大学
山下 和彦 様
株式会社グローバル・ケア 代表取締役
櫻井 敦博 様
株式会社らいふ
具体的な取り組み内容
具体的には、下記の項目に取り組んでおります。
・ ブラシで足部全体を洗う
・ 清潔に保つことで、水虫などの予防・改善につながる.
・ 爪の間に挟まっているゴミが皮膚を圧迫して痛みの原因となっていることもあるため、取り除く.
足浴
・ 爪のタイプに応じて爪切りを行う.
・例
肥厚タイプ:盛り上がっている箇所をグラインダ(爪を削る 器械)で削る.
巻き爪タイプ:食い込み部分を爪の形に沿って切る.
爪を切る
・タコや魚の目など皮膚が硬くなっている箇所をグラインダ・やすりを
用いて削る.
・削りすぎると痛みが生じることがあるため、専門的な知識とスキルを
備えたフットケアワーカの施術が求められる.
皮膚の状態の確認
・乾燥していると傷がつきやすいなどの問題があるため、クリームを
用いて保湿を行う.
・マッサージでは筋肉の柔軟性を高めるだけでなく、足指が開くように
するなどのケアも同時に行う.
保湿・マッサージ
・膝から下の筋力を計測する.(座位にて計測)
・歩くときの蹴り出す力に関連する筋力であり、足指力が低いと、地面を蹴り出すことができず、推進力が得られないため、ゆっくりとした歩行となる.(ゆっくり歩行(歩行能力が低い)=転びやすい)
・足指が動かない,巻き爪で足指が痛みがあると力を上手く発揮することが難しい.
足指力計測器
・歩いているときの身体・骨盤を支える筋力であり、膝間力が低いと、身体を支えることができず、フラフラした歩行となる.
歩数が減少すると、股関節回りの筋力は低下する.膝間力計測器
足圧分布計測器
・足部の形状と足爪の状態の観察を行うため撮影をする.(立位にて実施)
・撮影データは3Dデータとして観察することができる.足部と足爪の状態観察
実際に施設で行われた「計測会」と「フットケア施術会」の様子
「フットケアプラン」と「フットケア実施報告書」
雑誌「介護ビジョン」2020年4月号に転倒リスク低減に向けた取り組みが掲載されました
掲載記事
表紙
目次
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本レポートは、下記よりダウンロードできます↓
「フットケア実施報告書」を作成しています
フットケアスペシャリストが行った施術内容やフットケア施術前後の足の様子がわかるように、施術の度に「フットケア実施報告書」を作成し、ご利用者様とそのご家族様にお渡ししております。