生産性向上の取り組み「時間のモノサシ」

 介護の仕事は、製造メーカーの生産性のように、時間あたりの製品完成数(1分間あたり何個製造)と異なり、一介助あたりに要する時間を指標化することは難しいと思われています。

 そもそも介護という仕事は、介護職の経験・スキル・要領の良さ悪さ、そして入居者の介護度や拘縮などの症状・状態にも因るため、職員一人一人の介護・介助の実施時間に差があるため、「時間」という概念が定着してこなかったのも事実です。
 職員一人が一回あたりの介護・介助業務で5秒・10秒短縮でき、一週間・一か月・一年と長い期間 積み重ねていけば、膨大な時間差となります。

取締役 小林


 サービスの質を落とすことなく、一人の時間を短縮できれば、効率化がはかられますが、そのためには 職員一人一人が介護・介助するにあたり時間を強く意識しなくてはなりません。
 手抜きや間引くことではなく、質を落とさずに手際よく仕事をすることこそが重要です。

 また、当社では、2018年より『らいふ君/VIVA(見守りシステム)』(*)を3施設(千歳船橋・緑道・小田急相模原)で導入し、効果検証した結果、介護業務の25%程度の時間的余力が出現することが実証できました。
 その浮いた時間を、より質の高い介護(例えば、傾聴・見守り)や(知識・技術)研修などに充てることとにより、ご入居者様の満足度の向上につなげてます。

 今般、らいふ君/VIVAの本格全社展開に先駆けて「時間のモノサシ」を意識した取り組みを実施しておりますのでご紹介します。

(*)「らいふ君/VIVA」の詳細についてはこちら

職場の生産性を見直すとは(生産性向上のメリット)

職場の職員が“全員”A職員のように効率良く動けたとしたら、きっと素晴らしく優秀な施設運営ができることでしょう

しかし新人職員入社してきますしベテラン職員がやむを得ず職場を去ることもあるでしょう

その状況の職場の生産性を見直すためには、まず今の全職員の生産性をチェックすることが必要です

例えば

20粒の大豆が皿の上にあります。

・これを5名の職員に箸で隣の皿に一つずつ移し替えていく作業を行ってもらった結果…


・ご覧の通り、ベテランのA職員の生産性はE職員の5倍です。

・極端な表現をすれば、丁寧だけれども時間を要するE職員が1人の介助を行っている間に、A職員は丁寧かつ迅速に5人の介助を終えている、ということになります。素晴らしい!

・同時に、同じ介助を行ったにも関わらずA職員はE職員の5倍の負担がかかっているとも言えます。


◎A職員の生産性は、この上ないほど高いので見直す必要はありません。

◎見直すべきは平均以下のD職員とE職員の生産性を改善させることです。2人の生産性が改善されれば、職員の負担が少なくなるだけでなく職員全体の生産性も高くなりますね。

◎生産性を見直すこと、つまり向上させることとは、個々が密度の濃い仕事をすることを意味し、すなわち少ない時間で今までと同じ仕事をする、あるいは今までと同じ時間でより多くの仕事をすることのです。


先ほど例に挙げた生産性の改善によりE職員の皿へ移すタイムが230秒から、平均の130秒へ改善されたとします。

◎すると、職員は一つ作業において新たに60秒の時間を生み出したことになります

この生み出された60秒が一日の勤務時間の中で10回発生したします。すると合計10分になりますね。10あれば…

早く帰宅できます認知症ご入居者により多くユマニチュードを実践することができますまた、もしかしたら介助の効率が良くなったことでE職員に自信が湧きモチベーションがアップ!するかもしれません

◎当社では、この生産性向上の取り組みと同時に、ご入居者の見守りシステムらいふ君の導入も進行中です。

◎導入により、定時の巡視を行わなくても居室内の危険を事前に察知することができるようになるため、定時の巡視の時間を大幅に削減できます。


 

生産性管理の必要性 ~生産性向上を実現させる5つの柱~

仕事の見直し(業務を作業レベルに分解する習慣づけ


◎例えば「排泄介助」。ただ単に「排泄介助を行う」だけでは、その仕事の“どこに”課題があるか気付くことはできません。

◎「コールが鳴る」「必要な用具を準備する」「入室し介助の準備をする」「介助をする」「片づける」「記録を書く」等により、 一つの介助は、動作ごとに細かく区分することができます。区分することで、改善すべきポイントを具体化させられます。

◎業務を作業レベルに分解する習慣を身につけることで、改善する効率も高くなります。


業務に集中できる環境を整える


◎何かと忙しい介護の現場、あれもこれもと追われているうちに結局残業…という経験はありませんか?

◎一日の業務の中で優先順位を決め、一つひとつの業務に集中し取り組む環境を整えましょう。

ベテラン職員のノウハウの共有化


◎その施設での勤続年数が長い職員や介護業界での経験が長い職員は、当然新人と比べ経験値が高いので、 様々な介護のニーズにも臨機応変に対応することが可能です。

皆さんの職場では、そういったベテラン職員の介護技術が他の職員へも伝達される仕組みができていますか?

せっかく同じ施設で働いているにも関わらず、各自が独学の介護を行っていてはもったいないですね。ベテラン職員のノウハウを共有しましょう。

上手な時間の使い方を習得


◎効果的な時間使い方をマスターしましょう!

◎まずは、スケジュールを立てるところからです。出勤して、その日のだいたいの業務フローは決まっていると思います。

◎しかし、申し送り等で不穏なご入居者の情報や当日の入浴予定者数の変更、他にはイレギュラーで事故が発生しご家族や上司への電話連絡対応や受診対応が入ったり、出勤予定だった同僚が急に休んでしまったりすることだってあるかもしれません。

余裕を持ったスケジュール管理を行い、不測の事態にも対応できるよう準備しておきましょう。

3つの視点から検討する


◎与えられた仕事について、常にその仕事の効率化を高めようと考える努力をすることも、大切なことです。

(1)「それって、廃止できない?」→やめても問題が生じないものは、思い切って廃止し無駄なコストを削減しましょう。

(2)「それって、省力できない?」→廃止できない業務は、以下の視点から効率化を計れないか検討しましょう。

・統治する→似通った仕事や、似通った結果の出る別々の仕事は、一つにまとめましょう。

・質を見直す→業務内容を見直し、簡素化しましょう。

・量を減らす→書類の枚数や提出先を見直し、量を削減しましょう。

・頻度を減らす→会議の回数や開催時間を見直し、頻度を削減しましょう。

(3)「それって、代替できない?」→その業務に関わる人・物が他のシステム導入等で代替できないか検討しましょう。
 

「時間のモノサシ」実施要領

◎導入にあたり、勉強会実施~実施期間~確認会実施を1サイクルとし、四半期ごとに繰り返し実施。

◎また、この数値を組織内対比、評価することは、短絡的な手抜きにつながる可能性あり、敢えて実施せず。

1.介護プロセス別「参考時間」の提示

◎全社の介護プロセス別業務時間把握に先立ち、モデル施設で計測を行い、参考時間として提示。

◎時間についてはあくまで「参考値」であり、施設特性・職員特性により異なることを理解させ、施設個々に計測を実施。

(例)

2.「時間のモノサシ」チェックシートを活用して計測

◎施設ごとに注力する項目を中項目単位で設定し、職員個々の所要時間測定を実施。


◎これを「時間のモノサシ(=業務効率化の指標)として活用。


◎実施にあたり、時間短縮することを安易な目的とせず、所要時間短縮の評価や処遇反映は行わない。

チェックシート1

チェックシート2


イメージ図

3.「時間のモノサシ」作成の流れ

4.社内報(取り組み浸透のためのツール)

本取り組みを社内で浸透させるために複数回社内報を発行(事前勉強会実施)し、目的・手段の周知を行っています。ぜひご覧ください。

*下記各画像をクリック頂くと拡大表示できます。

社内報1

社内報2


社内報3

社内報4


社内報5

 

 

各施設での取り組みの様子

各施設、管理者・主任・リーダーなどを中心に全職員で取り組んでおります。

職員への説明

セルフチェック(計測)


「時間のモノサシ」チェックシートの活用

職員同士の意見交換

施設長によるチェック